慢性腰痛の治療について

2017/11/25

 腰の痛みが3か月以上続く状態を慢性腰痛といいます。
慢性腰痛には、腰に異常が見られないのに痛みが続く場合と、
腰の異常が治ったのに痛みが続く場合があります。
腰の痛みが良くなったり、悪くなったりするのを繰り返す場合も
慢性腰痛に含まれます。
 慢性腰痛は、幅広い年代にみられ、中でも、30~50歳代の
働き盛りに多く、都会の事務職に多い事が分かっています。
その理由として、ストレスが考えられます。

(以下、2016年NHKきょうの健康10月テキストより)
 普通は痛みは脳で認識されます。腰からの痛みの信号が、
脳に伝わると、脳からドパミンという神経伝達物質が出ます。
すると、脳内で脳内麻薬物質(ミューオピオイド)が多量に
放出されます。すると、それに伴い、神経伝達物質のセロトニン
ノルアドレナリンが放出され、痛みを感じなくなるという仕組みが、
健康な人は働いているようです。

 しかし、ストレス、うつ、不安などの精神的要因を長期間抱えていると、
脳でドパミンが出にくくなるため、腰痛が長引いたり、わずかな痛みでも
強く感じたりするようになります。
 また、そのような精神的な要因について、はっきりさせないまま
治療を繰り返していると、効果が出ないため、腰痛治療への不満が
増して、ストレスや不安がまた増える、という悪循環が起こります。

 そのような慢性腰痛の現在の西洋医学の治療方法の基本の1つ目が、
整形外科医と精神科医が連携して行うものです。日本では、ごく1部の
医療機関で行われているだけだそうです。
 まずは、考え方を見直します。1つ目は「すべてが無か」ではなく、「ほどほどでOK」
と考えます。腰痛で仕事にならない、ではなく、腰痛はあるけれど、これだけ仕事ができた、
と考えるようにします。2つ目は「痛みの事ばかり考えない」ことです。
痛みの事ばかり考えているとそれもストレスになります。体を動かしたり、
楽しい事に集中します。3つ目は「実現可能な近い目標をつくる」ことです。
腰痛で家事が出来なくて困っていたなら、少しでも家事ができるようになったら、
よくなったと考えます。家事が出来るようになったので、腰痛が改善したと
考えるようにすると、ストレスなどの悪循環を断ち切れます。

 治療方法の基本の2つ目は、適度な運動や楽しい事を行うことです。
脳からドパミンが放出され、痛みを抑える仕組みが活発になって
腰痛が軽減します。

 考え方の見直し、適度な運動や楽しい事をおこなっても良くならない場合は、
治療方法の3つ目として薬が使われます。痛み止めや、2016年3月からは、脳に作用して、
セロトニンとノルアドレナリンの放出を増やして痛みを和らげたり、
抗うつ作用のある薬が使われ始めたようです。

 次回は、慢性腰痛に対して鍼灸ではどの様な治療方法をとるのか、
少し書いてみたいと思います